女性特有の疾患である子宮筋腫について解説します。子宮筋腫とどんな疾患なのか、症状と妊娠の関係、症状、検査、治療法などについて簡単に述べさせていただきます。発生する部位、大きさ、数、その時点での妊娠の希望の有無でも対応が変わってきます。そのため正しく理解することが非常に重要といえます。
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子宮筋腫とは?
子宮筋腫は30歳以上の女性の20-30%に認める疾患です
無症状の方が約半数を占めるといわれていますが、発生する部位、大きさ、数などによって妊娠への関与の度合いが変わってきます
子宮筋腫の場合3通りのパターンがあります
①漿膜(しょうまく)下筋腫(2割)→妊娠にはほとんど影響しない
②筋層内筋腫(7割)→場合によっては早産のリスクとなる可能性
③粘膜下筋腫(1割)→不妊症と最も関係あり
子宮腔内を筋腫が占拠する事により着床部位に直接影響を与えていると考えられています。
症状
①過多月経 生理(月経)の量が多くなる可能性があります
②月経困難症 生理(月経)が「おもくなる」可能性があります
③不妊 上記のように、子宮筋腫の位置や大きさによる違いもありますが、不妊に影響を及ぼす可能性があります
子宮筋腫による体へのリスク
上記のような症状があり、過多月経などの程度によっては貧血などのリスクがあります
子宮筋腫の原因は何か
さまざまな説はありますが、原因はよくわかっていません。女性ホルモンとの関係性はあると考えられますが、なぜ子宮筋腫ができる人とできない人、多発する人、しない人がいるのかはわかっていません。
検査・診断方法
超音波検査が一般的です。上記粘膜下筋腫の場合、子宮鏡を併用する場合もあります。
そのほか位置や大きさを詳しく調べるためにMRI検査を併用することもあります。
治療方法
筋層内筋腫の場合
経過観察となる場合もおおいです。
様々な理由から外科的な加療を選択する場合もあるかもしれません。その場合は妊娠を希望しているので子宮を残して筋腫のみを取り除く子宮筋腫核出術が提案されるかもしれません。術式は開腹手術と腹腔鏡手術があります。
粘膜下筋腫の場合
開腹をせず、経膣的に子宮鏡下に筋腫を摘出する事が可能です。ただサイズが大きい場合や筋腫が筋層内に入り込んでいるような場合は子宮鏡だけでは取り除けないので腹腔鏡手術と同時に行う事もあります
子宮筋腫と不妊治療
子宮筋腫の不妊治療への影響は子宮筋腫の位置によって大きく異なります。
漿膜下筋腫
妊娠への影響が少ないので、経過観察の可能性が高いです。しかし、採卵を行う際に、筋腫の影響で穿刺できない場合は、手術適応になることもあります。
筋層内筋腫
手術を行った場合、子宮の耐久性の低下が免れないです。可能であれば、手術を避けたいが、子宮筋腫の影響で採卵穿刺ができない場合や、あまりにも大きい場合、着床障害が疑われる場合などは手術を勧めることもあります。分娩方式は帝王切開となり、妊娠後に子宮破裂のリスクも上がるため、可能であれば手術は避けたいところです。
粘膜下筋腫
粘膜下筋腫の場合は大きさや位置にもよりますが、不妊と最も関係性が高いので手術療法を勧められることが多いです
参考文献
日本生殖医学会 生殖医療の必修知識2020