男性不妊症を調べると必ずと言っていいほど出てくる精索静脈瘤、せいさくじょうみゃくりゅうと読みます。ここでは男性不妊の原因となる精索静脈瘤について、その原因、検査、治療法、精子に対する影響などについて解説させていただきます。
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精索静脈瘤とは?
精索静脈瘤とは、精巣の周りにできた静脈の瘤(こぶ)です。静脈には血液が逆流しないように弁がありますが、弁が機能しなくなると血液が逆流します。精巣の静脈の弁が機能しなくなり、清掃に向かって血液が逆流してくると、精巣の周りの血管が拡張します。このことによりできた瘤(こぶ)を精索静脈瘤と呼びます。
体への影響は?
精索静脈瘤は成人男性の約10-20%にあると言われており、静脈瘤がある人全てに決まった症状が現れるわけではありません。ただし、男性不妊症の約30-40%の方に精索静脈瘤を認め、治療により精子の状態が改善することから、静脈瘤は正常な精子を作る機能を低下させることが知られています。また、そのほかに痛みの原因となることが知られており、精巣の痛みをきっかけに診断されることが知られています。
精索静脈瘤の原因は?
精索静脈瘤は約80%の方が左の精巣のみに発症します。左の精巣静脈が左腎静脈に合流する際に血液の鬱滞が起こり、血管の中圧が上昇することで、弁が機能不全を起こし、静脈血が逆流してしまうからです。一方、右については下大静脈にスムーズに合流することが多く、
血管内の圧が上昇しにくいため、左と比較し右には発症しにくいと考えられれています。
静脈瘤の検査
立った状態で、精巣を触診します。これは立位で診察すると、陰嚢の状態が観察しやすいことと、逆流する血液により、瘤(こぶ)がよりはっきりするからです。表のように触診によりグレードの診断を行うこともできます。また、より詳細に精巣や血管の状態を確認するために超音波の検査を行います。超音波検査では、拡張した血管を観察することができ、ドップラー超音波検査を行うことで、血流の状態、逆流の程度などを観察でき、診断をより確実なものにすることができます。
精索静脈瘤を治療するメリット
精索静脈瘤があることで、造精機能障害(正常な精子がうまく作れなくなること)が起こることが知られています。これは精巣内に酸素濃度の低い静脈血が逆流してくることにより、精巣内の温度が上昇したり、体内で過剰になると細胞にダメージを与える活性酸素が上昇することが原因と考えられています。この活性酸素は静止のDNAにもダメージを与えることが知られているため、手術により血液の逆流をなくす事により温度の上昇や活性酸素の産生が抑えられます。精巣内で静止の元になる細胞から精子が産生され射精されるまで約3ヶ月かかりますので、静脈瘤の手術をすると約3ヶ月で精子の数が増えたり、運動率が上昇したり、精子DNAの状態が改善したりすることが知られています。
精索静脈瘤の治療法
静脈の瘤ができてしまっている原因は、静脈を逆流してくる血液です。ですので、この血液が精巣まで戻ってこないようにします。機能しなくなった弁を治すことはできないので、血管をしばって、切る事により静脈の血液が精巣まで戻ってこなくなります。手術は局所麻酔で行うことができます。陰毛を剃って皮膚を切開し、精索と呼ばれる血管や精子の通り道の入った束を体外に持ち上げ、逆流により拡張した静脈を縛って切ります。この際、清掃に血液を供給する動脈と、リンパ液の流れているリンパ管を温存します。逆流を起こしている血管を全て切離し、止血を確認したら、傷を閉じます。手術時間は血管の数や複雑さに大きく左右されます。
静脈瘤治療のリスク
基本的に局所麻酔、日帰りで行うことができる手術ですので、命に関わるような大きなリスクはありません。ただし、皮膚を切開して行う手術ですので、傷の痛みや出血、感染などのリスクは伴います。また、1%以下ではありますが、陰嚢に水が溜まってしまう陰嚢水腫などの合併症が知られています。再発のリスクについては約5%とされていますが、術式によっても再発率が異なっており、現在男性不妊に対して広く行われている顕微鏡下精索静脈瘤手術(顕微鏡下低位結紮術)は最も再発率が低いと報告されています。
精子の数が少ない、精子の運動率が低い、精子のDNA損傷率が高いなどの精液所見が悪いだけでなく、人工授精や顕微授精をおこなっているが、なかなか妊娠しないなどの場合にも一度超音波検査を受けてみることをおすすめします。松本レディースIVFクリニック男性不妊外来にて超音波検査を行っています。
まとめ
精索静脈瘤は陰嚢の腫れにより気づかれることもありますが、ほとんどの方が自分で自覚することはありません。精子の状態が悪い方、不妊治療がなかなかうまくいかない方は一度精索静脈瘤の有無について調べてみることをお勧めします。手術をいつどのようにするべきかどうかについて迷われている方も多くいらっしゃいますが、ご夫婦の状況によって変わってくるため、奥様の情報を元にご相談させていただきます。お気軽にご相談ください。