妊活を始めたばかりの頃は、初めて聞く色々な専門用語が登場します。中には「聞いたことはあったけれど、詳しいことはわからなかった」という用語も。今回は、妊活を始めたら必ず知っておかなければならない生理周期についてお話します。生理周期の計算や、生理をずらす方法など、周期の正常や異常、それらと関連する症状など、自分の体についてきちんと知っておきましょう。
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目次
一般的な生理周期
生理周期とは生理が始まってから、次の整理が始まるまでの期間のことを言います。
正常な生理周期は「25-38日の間で、その変動が6日以内」と定義されます。
持続期間は3-7日間(平均5日間)、正常な量は20-140mlです。(一番多い日で2-3時間に1回ナプキンを変える程度だと考えてください)
妊活についてのお話を分かりやすくするために、正常な生理周期を28日周期として表記されることが多いですが、上記の期間内であれば、数日程度のズレは正常と考えて大丈夫です。
以下の場合は生理周期が崩れている可能性がありますので、何周期も異常である場合は病院に受診しましょう。
- 頻発月経:24日以内
- 希発月経:39日以上3か月未満
- 続発性無月経:3か月以上の停止
上記の場合は、原因は様々ですがうまく排卵していなかったり、子宮筋腫やポリープ、癌などの子宮の病気が隠れていることもあります。
月経期の種類とそれぞれの特徴
月経周期は、卵巣から分泌されるホルモンとそれによる子宮内膜の変化により、「月経期」「卵胞期」「黄体期」の3つにわかれます。それぞれについて、どのような時期か、体調はどのように変化するかなどの特徴を説明していきます。
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① 月経期
- 生理が始まって終わるまでの期間で、3-7日間程度続きます。前の周期で妊娠しなかった場合、生理前に多く分泌されていた卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)が減少し、子宮内膜(受精卵が着床する場所)が剝がれると月経が始まります。
生理前から生理中は、下腹部が痛む所謂生理痛に加え、頭痛や吐き気、眠気などの症状が出る方がいます。
② 卵胞期
卵胞(卵子が入っている袋のような細胞の集合体)が育ち始めるとエストロゲンが分泌されます。エストロゲンが上昇すると子宮内膜が再生され、止血されます。子宮内膜は徐々に厚くなり、受精卵が着床するための準備をし始めます。月経期には5mm前後だった卵胞は、通常は毎周期1つが発育し、およそ2週間かけて20mm前後になると排卵します。
卵胞期は一番体調が安定している人が多い時期です。
また、月経期と卵胞期の時期は「低温期」とも呼ばれ、次の黄体期に比べ体温は低めです。
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③ 黄体期
- 排卵した卵胞は黄体となり、エストロゲンとプロゲステロンを分泌します。プロゲステロンは子宮内膜の質を変え、着床に適した状態にします。
この時期はいわゆるPMS(月経前症候群)が出現する時期です。イライラ、抑うつ、不安、怒りっぽくなるなどの精神症状、胸が張ったり、足がむくんだり、お腹が張る、片頭痛など多彩な身体症状が出現します。これらの症状は生理が始まると徐々に落ち着いてきます。
黄体期は「高温期」とも呼ばれ、低温期に比べると基礎体温が0.3℃以上上昇します。
妊娠が成立しないと黄体は14日程度で退縮し、白体となりエストロゲンとプロゲステロンが減少し、月経が始まります。妊娠するとこの黄体が妊娠黄体として維持され、ホルモンの分泌が継続するため月経がこないことになります。
生理周期の計算方法
生理周期は、生理が開始した日を1日目とし、カウントしていきます。1月1日に生理1日目であれば、1月10日は生理周期10日目となる計算です。生理が来るまでの期間はその日数を累積していき、次の生理が始まったらまた1日目にリセットされます。目安として3-6周期の平均を計算してみましょう。
最近では生理が始まった日を入力すると自動的に今日が生理何日目か計算してくれるアプリがあるので、利用してみるのも良いでしょう。
自分の生理周期を知っておくと、いつ頃が妊娠しやすいか予測する妊活のみならず、いつ頃生理がきそうか、生理周期のどんな時期に体調が悪くなりやすいかなど体調管理にも役に立ちます。手帳やアプリなど、自分の続けやすい方法で把握してみましょう。
生理周期がバラバラな場合の計算方法
生理周期がバラバラな場合、「平均」の意味は重要ではなくなります。ひとくちに「平均」28日周期といっても、「26日→28日→30日」は正常といってよいですが、「14日→30日→40日」は正常周期とは言えないからです。この場合は平均ではなく、単純にそれぞれの周期の日数が大事な情報と考えてください。
上記のような場合は、ホルモンバランスの乱れによる無排卵であったり、子宮内膜ポリープや筋腫、腺筋症、子宮頸癌や体癌などの病気があることがあります。いずれにしても妊娠しにくい状態になっている可能性がありますので、一度受診してみましょう。
生理をずらすには?
生理をずらすには「次の生理を早める」方法と「次の生理を遅らせる」方法があります(月経移動とも言います)。妊活のタイミングの調整や、旅行や大事な試験などにかぶらないようにする時にも用いる方法です。いずれの場合でも中容量のピルを使用することが多いです。
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① 生理を早める方法
- 生理周期5日目までの期間から10-14日間中容量のピルを内服します。内服終了後4日目前後で生理が来るので、開始日がいつかにもよりますが、28日周期であれば1週間から10日目くらい早めることができます。
メリットとしては、避けたいイベントがある場合、その時期にピルを内服しなくてよいことがあります。
デメリットとしては、内服している期間に少量の出血が続いたり、遅らせる方法よりやや成功率が低いことがあります。
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② 生理を遅くする方法
次の月経が始まる予定日の1週間程度前から、延ばしたい日を目安に中容量のピルを内服します。飲んでいる間はずっと遅らせられるわけではなく、2週間以上遅らせたいなど長期間になると途中で生理が始まってしまうこともあります。
メリットとしては、正しい時期から適切な期間内服していればほぼ確実に生理を遅らせることができます。
デメリットとしては、避けたいイベントがある場合、副作用が強い方は日程がかぶってしまうことがあります。
うまく利用すればとても便利な月経移動ですが、いくつか注意点があります。
- 月経移動は状況により100%成功するとは限りません。特に生理周期がバラバラな方や、正常周期でもギリギリの時期だとうまくいかないことも多いので、希望がある場合は早めに医師に相談しましょう。
- 倦怠感、眠気、吐き気などの副作用が出現する方もいます。症状が強い場合はお薬を変えたり、中止することもあります。副作用を避けるため、寝る前の内服がおすすめです。鎮痛剤、吐き気止めを一緒に内服しても問題ありません。
- 飲み忘れると途中で生理が来てしまうことがあります。通常1,2日程度であれば気づいたときに内服すれば大丈夫なことが多いですが、頻発すると失敗する確率が高くなります。
- 妊娠の可能性があると服用しない方が望ましい薬を使用することがあります。また、基礎疾患や喫煙などの生活習慣によっては薬を処方できないことがありますので、それらの場合は必ず医師に伝えましょう。
生理周期と年齢の関係性
10代:生理が始まり、しばらくの間は排卵が伴わず周期が安定しないことも多い時期です。
20代:周期が安定してきます。この頃になっても月経周期がバラバラである場合は一度受診を検討しましょう。
30代:後半になると徐々に卵巣機能が低下し始め、生理周期が短くなる傾向があります。妊活を考えている場合は早めに受診しましょう。
40代以降:閉経が近くなってくると生理周期が短くなったり長くなったり安定しなくなるようになっていきます。1年生理がないと閉経と判断します。
月経異常でみられる主な症状
1. 周期の異常
・希発月経
月経の頻度が少なくなった状態で、周期が39日以上であるものです。
・頻発月経
月経の頻度が高くなった状態で、周期が24日以下のものです。
・続発性無月経
90日以上月経がこないことを続発性無月経と呼びます。また、18歳を超えても生理がない原発性無月経という病態がありますが、かなり稀です。
周期の異常は、多嚢胞性卵巣症候群や精神的ストレス、体重の増減などによる排卵障害が原因となることが多くあります。
2. 量の異常
・過多月経
生理の量が異常に多い状態です。実際に量を計測するのは難しいので、実際には血液の塊が2日以上連続して出たり、夜用ナプキンを頻繁に変えなければならなかったり、貧血によって日常生活に支障をきたす状態で判断されます。原因として子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープや子宮体癌などがあります。
・過少月経
生理の量が異常に少ない状態で、通常は月経の持続期間も短くなります。無排卵や、子宮内腔癒着などがあります。
周期、量いずれの異常でも、もともと健康な人がたまに1回ある程度であれば一時的なものとして過度に心配しなくても良いですが、何度も繰り返すようなら原因を調べる必要があります。
採血でホルモンを調べたり、超音波で子宮や卵巣を検査し、原因を特定したらそれぞれに応じた治療をすることが妊娠への近道になります。
「最近量が増えたな」「昔から生理がバラバラで安定しないな」など、不安があれば婦人科を受診しましょう。
生理周期を整えるためのポイント
1. ストレス
忙しい生活を送っているとストレスを全くなくすというのは難しいですが、強すぎるストレスにさらされると排卵が止まり生理周期も乱れることがあります。試験や職場が変わるなど明らかな原因が取り除かれると元に戻る方も多いですが、続くようなら病院に受診を。ある程度のストレスはあって当然な部分もあるので、趣味などうまくストレスと付き合える方法を見つけましょう。
2. 規則正しい生活、食事
昼夜逆転の生活や、栄養が偏りすぎるとホルモンバランスが乱れ、生理周期に影響が出ることがあります。なるべく規則正しい生活、バランスの良い食事を心がけましょう。「これを食べればホルモンバランスが整う、生理が来る」という食事はありません。過度なダイエットをしすぎて「〇〇は絶対に食べない」「〇〇ばかり食べる」という食生活は好ましくありません。たんぱく質やビタミンを意識しつつ、バランスよく食事をとりましょう。
3. 体重を適正にする
痩せすぎ、太りすぎは無排卵となり生理周期を乱す原因となります。BMI[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗] 18.5以上25未満が適正体重で、22前後が理想的という報告があります。急激で極端な体重変化は体に負担がかかりますので、徐々に近づけるよう今のうちからコントロールを意識しましょう。
4. 過度な運動は控える
強度の無酸素運動や体脂肪率の著しい低下は無排卵を起こし生理周期を乱すことがあります。とはいえ、健康のためには適度な有酸素運動は有効とされていますので、運動習慣がない方はウォーキングやヨガなどを始めてみましょう。
生理周期と季節の関係性
イギリスの報告では、「冬に比べて夏は生理周期が短い」という報告もあるようですが、日本で国立成育医療研究センター・エムティーアイが解析した結果では季節による変化は見られないようです。イギリスでもその差は0.9日程度なので、季節による大きな変化はないと考えて良いでしょう。
生理周期と住んでいる環境は関係ある?
生理周期と住んでいる環境(居住地)についても、上記の国立成育医療研究センター・エムティーアイが解析した結果では差はないようです。日本は南北に長く、北海道と沖縄では大きく気温は異なりますし、晴れの多い地域や特定の時期には晴天があまりない地域でも差はなく、住んでいる環境は生理周期とは関係ないと考えられます。
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・まとめ
今回は生理周期の数え方、周期によって変化する体調などの特徴や、生理周期を整える方法、月経移動の方法などを説明しました。生理周期を知ることは、妊活の第一歩になりますし、自分の体調管理にも役立ちます。生理周期が不順だったり、自分の体調が悪い時に生理の何日目で起きているかがわかると、原因がわかる手助けになることもあります。ぜひ今から生理周期を把握する習慣をつけてみてください。