不妊治療において、最も妊娠率が高い治療方法が体外受精です。体外受精を行う場合、採卵し卵子と精子を受精させ、受精卵が発育して胚移植を行って初めて一連の治療の流れが完結します。体外受精の最後の肝となる胚移植ですが、その際にいくつかのオプションが提示されることがあります。その一つがアシステッド・ハッチングです。アシステッド・ハッチングとは何か、自分が行った方がいいのか、どのように行うのか、リスクはないのか、それらにまつわる疑問について解説していきます。
池袋駅 東口から 徒歩3分
働きながら、通いやすい。
最善の手段が選べる妊活を。
松本IVFレディースクリニックは、
最新のテクノロジーを駆使し、
短期での妊娠成立を目指す、
すべての人に最適な
妊活を提供します。
目次
アシステッド・ハッチング(Assisted hatching:AHA)とは
アシステッド・ハッチング(Assisted hatting:AHA)とは、日本語では「補助孵化(ふかほじょ)」と訳されます。受精卵を覆っている殻のような部分(透明帯と呼びます)の一部をレーザーや薬品によって薄くし、受精卵の中の細胞が出やすくしてあげるイメージです。Hatch(孵化)をassist(補助する)のでassisted hatching(AHA)と呼びます。
不妊治療では現在も様々な検査・治療が行われていますが、妊娠のプロセスは非常に複雑であり、お腹の中で起きていることがすべて明らかになっているわけではありません。何度胚移植をしても着床しない、「着床不全」とされる方がいますが、その中には胚の孵化がうまくできていないのではないか考えられるケースもあります。
本来、透明帯は受精の際に精子が何匹も侵入する多精子受精を防ぐ役目をし、受精後は 分裂する細胞をまとめる役目をしますが、着床の際にこの透明帯がうまく破れない人がいるのではないか?という考えです。
理論上では胚の孵化が起きないと着床ができないということになるため、生物学的に孵化は重要なステップであることは間違いなく、それを補助することで妊娠率の向上が見込めるのではないかと考えられ、現在は広く普及しています。
アシステッド・ハッチングと行うケース・向いている人
アシステッド・ハッチングは対象症例には幅があり、透明帯の所見(厚さ、形態、色など)、胚の形態(グレード、フラグメント量、初期胚や胚盤胞などの発育ステージ)、凍結融解の有無、患者背景(年齢や不妊歴)などどのような症例に効果があるかは議論がなされています。
その中でも効果があるとされているケース、向いている人は
①年齢が高い
②凍結融解胚移植
③何度も移植をしたが着床していない
などに当てはまる方は透明帯が硬くなっている可能性があり、アシステッド・ハッチングが有効かもしれません。
アシステッド・ハッチングの方法の種類
アシステッド・ハッチングにはいくつかの方法があります
① 透明帯切開法(zona dissection)
胚を固定し、マイクロピペットで透明帯を穿刺、貫通して固定用ピペットに擦り合わせるようにして透明帯を切開します。
② 透明帯開孔法(zona opening)
③ 透明帯菲薄法(zona thinning)
④レーザーによるアシステッド・ハッチング法(laser assisted hatching: LAH)
レーザーを照射して透明帯の処理を行う方法です。
現在では多くの施設が④のレーザーによるアシステッド・ハッチングを採用しています。
関連リンク:https://www.matsumoto-ladies.com/medical-treatment/ivf-2/
アシステッド・ハッチングのリスク・課題
アシステッド・ハッチングのリスクとして一卵性の双子(一卵性双生児)の発生率が上昇する可能性があります。自然妊娠での一卵性双生児の発生率は0.4%程度と稀ですが、アシステッド・ハッチングによりその可能性が上がるという報告があります。なお、先天異常のリスクが上昇するという報告はありません。また、胚に人為的な操作が加わるため、非常にまれですが胚を損傷するリスクはあります。
また、新鮮胚移植例では妊娠率や生産率は反対に低下し、凍結融解胚移植でも妊娠率の改善には至らなかったという報告もあり、未だに完全なエビデンスとしては確立されていません。
不妊治療のご相談は松本レディースIVFクリニック
当クリニックは、「赤ちゃんが欲しいのになかなかできない」と悩んでいらっしゃる方のための不妊治療専門クリニックです。
妊娠しにくい方を対象に、不妊原因の探索、妊娠に向けてのアドバイス・診療を行います。
1999年に開業し、これまで、不妊で悩んでいた多くの方々が妊娠し、お母様になられています。
当院の特徴につきましてはこちらをご参照ください。
https://www.matsumoto-ladies.com/about-us/our-feature/
まとめ
今回は胚移植におけるオプションとして選択されるアシステッド・ハッチングについて説明しました。未だに確立したエビデンスが出ていない面はあるものの、高齢の方、凍結融解胚移植の症例においては多く行われている方法ではあります。何度移植してもうまくいかない場合など、透明帯が硬化している可能性があると考えられる場合は選択肢として十分考慮されるでしょう。詳しくは医師とご相談ください。