不妊治療には様々なステップがありますが、その中でも最も妊娠率が高い治療法が体外受精です。一方で特殊な治療という印象が強いためか、費用やスケジュールについて不安を抱いている方は少なくないようです。特にお仕事をされている方は、両立ができるか心配でステップアップを躊躇う方も多いでしょう。今回は採卵から移植まで、それぞれの治療法別にどの程度の通院頻度になるかをご説明します。ご自身の生活スタイルと照らし合わせながら読んでみてください。
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目次
体外受精のスケジュールを種類別に紹介
体外受精の治療法にはいくつか種類がありますが、大まかにわけて「採卵周期」に薬を使うか(調節卵巣刺激)使わないか(自然周期)、「移植周期」に薬を使うか(ホルモン補充周期)、使わないか(自然周期)の選択肢があります。それぞれについて見ていきましょう。
A)採卵周期(調節卵巣刺激)
①排卵誘発
採卵に臨む前に、生理中から排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激し、複数の卵子を採れるように育てていきます。低刺激法、アンタゴニスト法、PPOS法、ショート法、ロング法など様々な刺激法がありますが、患者さんの卵巣の状態やこれまでの治療歴を考慮して決定します。どの方法でも、2週間程度の間に3-4回診察して成熟卵が採れるタイミングを見極め、採卵日を決定します。
②麻酔
採卵予想の個数や卵巣の位置などを考慮して麻酔を使い分けます。個数が少なく、卵巣の位置が膣壁から近い場合は無麻酔でも採卵できることがあります。また、個数が多かったり、卵巣の位置が子宮の裏などの場合は局所麻酔や静脈麻酔を行います。(麻酔方法は施設により異なります)
③採卵
経膣超音波(普段内診台で受けている超音波と同様です)の先に針をつけ、膣壁を経由して卵巣に針を刺し、卵子が入っている卵胞液ごと吸引します。針の太さは採血や点滴の針とほぼ同じような太さです。処置自体は、採れる個数にもよりますが数分から十数分で終わります。胚培養士が採取した卵胞液から卵子を探します。
メリット
複数個の胚を得られる可能性がある(=採卵回数が減らせる可能性がある)、またはその胚を2人目以降のために凍結しておくことができる。生理不順でも問題なく周期が組める。
デメリット
自己注射など、薬を使用することによる副作用が起きることがある、卵巣過剰刺激症候群のリスクがある
B)採卵周期(自然周期)
①採卵まで
生理周期によりますが、まずは生理2,3日目に一度受診し、排卵予想日が近くなったら数回受診し、排卵日を見極めます。
②採卵
刺激周期と同様ですが、基本的には採卵できる個数は1個のことが多いため、無麻酔で行うことが多いです。
メリット
薬を使わないため、体への負担が少ない。
デメリット
採卵個数は0-1個となるため、採卵回数が多くなりやすい。排卵抑制の薬を使わないため、排卵してしまうことがある。生理不順の場合は行えない。
C)胚移植周期(ホルモン補充周期)
①移植日決定まで
生理2,3日目に受診し、子宮や卵巣に問題がないかを調べます。問題がなければ、子宮内膜を厚くするエストロゲン製剤を使用します。薬を使用して2週間程度経ったころに再度受診し、内膜の厚さを調べます。厚さが十分であると判断されたら、移植日を決定します。ホルモン補充周期の場合、このエストロゲン製剤を使用することで排卵を抑えることができるため(稀に排卵することもあります)、移植の日程をある程度コントロールすることができます。移植日に向けて黄体ホルモンの薬の使用を開始します。
②移植日
凍結している胚を融解し、子宮に移植します。細いチューブを子宮口からいれ、少量の培養液ごと子宮内に戻します。針を刺したりはしないので、ほとんどの方は痛みがなく終わることが多いです。移植日は特に過度な安静は必要なく、通常通りの生活を送って大丈夫です。
メリット
受診回数を減らすことができる。移植日をある程度選択できる。生理不順の方でも周期が組める。
デメリット
最長で2か月程度薬を使用する必要がある。
D)胚移植周期(自然周期)
①移植日決定まで
生理2,3日目に受診し、子宮や卵巣に問題がないかを調べます。その後は排卵日近くに何回か通院し、排卵日を見極めます。
②移植日
排卵した日から3日目(初期胚の場合)、あるいは5日目(胚盤胞の場合)が移植日になります。移植の流れはホルモン補充周期と同様ですが、自然周期採卵の場合は、受精卵が育っていない時は移植がキャンセルになることがあります。
メリット
薬を使用する必要がない。
デメリット
移植の日程が選べない。月経不順の方は周期が組めない。
体外受精のスケジュールを管理するポイント・注意点
①採卵周期のスケジュールが特に重要
通院回数が多くなりやすく、受診日や採卵日の選択の幅が狭くなりがちなのが採卵周期です。通常の受診日でも採血、超音波、説明などである程度時間がかかりますが、仕事前後に通院しやすいクリニックかは重要と言えるでしょう。
また、特に採卵日は多くの病院で午前中に設定されていることが多く、少なくとも午前中いっぱいは休みが必要になりますし、可能であればその日丸一日休める方が望ましいです。受診日にしても採卵日にしても、2,3日後に決まることも多いため、生理開始から2-3週間はフレキシブルに対応できる方が良いでしょう。
特に採卵日に当たる可能性が高くなる生理12日目以降は、連続して来院できない日が2,3日あると、ベストなタイミングの採卵を逃しやすくなります。
②移植周期のスケジュールは少し余裕がある場合があります
ホルモン補充周期で移植する場合は、
①生理2,3日目
②その2週間後くらい(ある程度幅あり)
③移植日:②の受診日から5日目以降(胚盤胞の場合)で1週間程度以内であれば調整可
④妊娠判定日:移植日から10日目前後
と、最短4回で一連の流れが完結します。そのため、移植周期に関してはホルモン補充周期であればお仕事をしながらでもうまくお休みの日を使いながら受診できる可能性が高いです。
ただし、自然周期の場合は排卵日の見極めが重要であること、また排卵日をコントロールすることができないことから、通院回数が多くなりがちであったり、移植日も固定されることになります。
このように、採卵周期は通院回数が多くなりがちなこと、通院日や採卵日を予め予測することが難しいこと、移植周期は方法によりスケジュールのコントロールがしやすいなどの特徴があるため、ご自身のお仕事の調整がつきやすい時期に採卵周期を行えるのが望ましいでしょう。
体外受精で誘発方法を慎重に検討すべき理由
誘発方法には様々な特徴がありますが、それぞれメリットデメリットがあります。
①高刺激
メリット
1回の採卵で多くの胚が凍結できる可能性がある
デメリット
卵巣過剰刺激症候群(卵巣が腫れすぎて捻じれたり、脱水症状を起こして脳梗塞などがおきる)のリスクがある。採卵周期と移植周期は別の周期にする必要がある。
②低刺激
メリット
複数個の胚を凍結できる可能性がある。同じ周期に採卵と移植が可能な場合がある。
デメリット
ホルモン値の状態によっては移植は別の周期にした方が妊娠率が高いことがある。高刺激に比べ採卵個数は少なくなる傾向がある。
③自然周期
メリット
薬を使用しないため、体への負担が少ない。同じ周期に採卵と移植が可能。
デメリット
採卵できる個数は0-1個であるため、採卵回数が多くなりやすい。受精しない、育たないなどの理由で良好胚に育たないと移植へ進めない。
どの刺激方法が良いかは画一的に決めることができません。例えば、子供は2人以上を考えている、仕事の調整を柔軟に利かせるのが難しい場合は、高刺激でできるだけ1度の採卵で多くの胚を凍結することを考慮します。
また、高齢だったりAMHが低い方で高刺激をしても多くの卵子の獲得が難しい方は自然周期の方が良いかもしれません。重度のPCOSの場合、高刺激はOHSSのリスクが非常に高くなりますし、自然周期は自然に卵胞が発育しない限り選択できないため、必然的に低刺激になる傾向があります。
女性の体質や年齢、家族計画により刺激方法は変わりますので、医師とよく相談しましょう。
体外受精に関するご相談は松本レディースIVFクリニックへ
当クリニックは、「赤ちゃんが欲しいのになかなかできない」と悩んでいらっしゃる方のための不妊治療専門クリニックです。
妊娠しにくい方を対象に、不妊原因の探索、妊娠に向けてのアドバイス・治療を行います。
1999年に開業し、これまで、不妊で悩んでいた多くの方々が妊娠し、お母様になられています。
当院の特徴につきましてはこちらをご参照ください。
https://www.matsumoto-ladies.com/about-us/our-feature/
まとめ
今回は体外受精のスケジュールについて詳しく説明しました。採卵周期はどうしても急な通院日、採卵日の指定となりがちですが、移植周期は治療法によってはお休みの日をうまく使って予めある程度予定をコントロールできることが多いです。採卵周期も、職場に近い、あるいは通勤前後に通院できる時間帯に診察しているクリニックであればストレスが少ないかもしれません。ご自身の体質やスケジュールに合った治療法ができるか、医師に相談してみましょう。