以前は全額自費で高額であった体外受精が保険適用となり、費用面でのハードルは大きく下がりました。とは言え、「自分たちでは払えない金額ではないか」「平均でいくらかかったのか」「実際かかった費用は?」「スケジュールはどのように進むのか」など、イメージがわかずに漠然とした不安があり、ステップアップを躊躇されている方は外来でも少なくありません。今回は、体外受精の流れや細かい費用について説明します。
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目次
そもそも体外受精とは?
体外受精とは、女性の卵巣から卵子を採取し、男性の精子と受精させ、受精卵(胚)を培養して、発育した胚を子宮に戻して着床を促す治療です。
体の外で受精を行うので体外受精といいます。
大まかな流れは下記の通りです。
A) 卵巣刺激
内服薬や注射を使用して、卵巣を刺激して複数の卵子を育てます。
B) 採卵
卵巣に腟から針を刺して卵子を採取します。
C) 受精
精子の状況により、体外受精(ふりかけ法、シャーレの中に採取した卵子と調整した精子を置き、自然に受精をさせる)、または顕微授精(針で卵子の中に精子を注入する)を行い、受精させます。
D) 胚培養
受精した受精卵(胚)を培養器の中で育てます。
E) 胚凍結
受精後3日目、または5・6日目の時点で育っている胚を凍結します。
F) 胚移植
凍結した胚を融解し、子宮に戻します。
他にも、排卵誘発をせず卵子の自然の発育を待ち採卵、その周期に胚を移植する「自然周期」と呼ばれる方法もあります。
体外受精を選択するケース
大きな適応は以下の4つです。
①機能性不妊
明らかな原因は不明なものの、中々妊娠しない
②卵管性不妊
両側の卵管を切除している場合など
③一般不妊治療無効
タイミング法や人工授精を何回か行っても妊娠しない
④重度の男性因子
閉塞性無精子症など
上記に加え、女性側の年齢で制限があります。
①対象年齢
治療開始時の妻の年齢が43歳未満(男性側には年齢の上限はありません)
②回数
40歳未満6回まで/40歳以上43歳未満3回まで(胚移植1回の回数をカウントします。採卵回数は上限がありません。2人目の治療の際は回数がリセットされます。)
③婚姻関係
法的な婚姻関係または事実婚関係(同一世帯に住んでいる・子供を認知予定・配偶者無し)にある。
43歳以上や、回数を超えた分は保険適用とならず、自費診療となります。
体外受精の費用の相場
体外受精は、刺激方法や薬の使用の有無、オプションや先進医療により大きく費用が変わりますが、およその目安は下記の通りです。
①採卵周期
約8万-20万円(保険適応の場合)/約40万-60万円(自費の場合)
②移植周期
約4.5万-5万円(保険適応の場合)/約10万-20万円(自費の場合)
③先進医療
項目により異なる(数万‐20万円程度まで様々)
先進医療とは、保険と同時に併用できる特別に認められた高度治療(自費診療)です。通常保険適応で治療を進める場合、自費との併用は認められておらず(混合診療の禁止)、自費の項目を併用する場合は全ての治療を自費で行わないといけませんが、先進医療は特別に同時に行えます。
体外受精の治療項目ごとの費用
A) 採卵周期:約80.000-200.000円
採卵周期 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
①採卵周期開始~ 採卵日決定 |
②採卵 | ③受精 | ||||
内訳 | エコー | 採卵料 | 9600円 | 1:媒精 | 12600円 | |
1回目 | 1590円 | 個数により下記加算 | 2:顕微授精 | |||
2回目 | 1430円 | 1個 | +7200円 | 1個 | 14400円 | |
(3回目) | 1430円 | 2~5個 | +10800円 | 2~5個 | 20400円 | |
採血 | 1770円/回 | 6~9個 | +16500円 | 6~9個 | 30000円 | |
10個以上 | +21600円 | 10個以上 | 38400円 | |||
1,2両方実施の場合 1の半額+2の金額 |
||||||
その他、 再診料、 薬剤料、 管理料など |
採卵周期 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
内訳 | ④培養 | ⑤胚凍結保存 | ||||
初期胚培養 | 胚盤胞培養 | |||||
採卵翌日~受精した個数 | 胚盤胞培養へ移行の場合 | 胚凍結した個数毎 | ||||
1個 | 13500円 | 1個 | 4500円 | 1個 | 15000円 | |
2~5個 | 18000円 | 2~5個 | 6000円 | 2~5個 | 21000円 | |
6~9個 | 25200円 | 6~9個 | 7500円 | 6~9個 | 30600円 | |
10個以上 | 31500円 | 10個以上 | 9000円 | 10個以上 | 39000円 | |
タイムラプス培養加算 30000円(自費) | ||||||
その他、 再診料、 薬剤料、 管理料など |
①採卵周期開始-採卵日の決定
生理が始まると採卵周期が始まります。およそ2週間程度の間に3-4回通院し、超音波と採血でホルモン値や卵胞の発育を見ながら採卵日を決定します。
②採卵
採卵当日は基本料として採卵料がかかります。採れた卵子の個数により、料金が加算されます。
③受精
卵子と精子を受精させる費用です。媒精にはふりかけ法と顕微授精があり、精子の状態やこれまでの治療における受精率に応じて決定します。顕微授精は個数に応じて料金が変わります。
④培養
受精卵(胚)を育てる料金です。採卵翌日から受精した個数に応じて料金が変わります。初期胚は受精後3日までの培養、胚盤胞は受精後5,6日目まで培養した場合の料金です。
⑤胚凍結保存
初期胚、または胚盤胞として凍結する個数に応じてかかる料金です。
*凍結している胚が残っている状態で再度の採卵は保険適応になりません(胚を貯めることはできません。)
*将来移植する目的(すぐの移植は考えていないが、何年か後の妊娠を希望して凍結しておきたいなど)の採卵は保険適応になりません。
B) 移植周期:約45.000円-50.000円
移植周期 | ||||
---|---|---|---|---|
①~移植日決定 | ②移植 | |||
内訳 | エコー | 移植 | 36000円 | |
1回目 | 1590円 | 加算 | ||
2回目 | 1430円 | アシステッドハッチング | ||
(3回目) | 1430円 | +3000円 | ||
グルー | ||||
+3000円 | ||||
その他、 再診料、 薬剤料、 管理料など |
①移植周期開始-移植日決定まで
生理開始日から2週間程度の間に2-3回程度受診し、移植の日程を決めます。
②胚移植
発育した胚を子宮内に戻します。該当される方のみ、アシステッドハッチング、エンブリオグルーなどのオプションが選択できます。
*採卵、移植どちらの周期でも、上記に加えて薬剤費や再診料、管理料などが必要になります。また、使用する薬剤の種類や量は個人の体質や周期によって変わります。
C) 先進医療
病院により、採用している先進医療およびその費用は異なります。
タイムラプス培養器
採取した卵子と精子を受精させた後、受精卵は培養器の中で発育します。従来の培養器では受精のタイミングや発育の確認のために何回か培養器から胚を取り出して顕微鏡で確認する必要がありました。本来胚は卵管や子宮内で育つため、確認する都度、光や温度、酸素や二酸化炭素濃度の変化が胚にストレスなのではないかと考えられていました。タイムラプス培養器は、カメラで胚の発育過程を動画で記録でき、外に出すことなく観察できるため、胚にストレスがかかりにくく良好胚に育つ確率が高いと考えられています。(当院の場合:3万円)
ERA(Endometrial Receptivity Analysis)検査
胚を移植した後、子宮内膜がその胚を受け入れられる期間(着床の窓)が決まっていると考えられています。この窓の開いている期間には個人差があり、通常通りのプロトコルでは移植の時期が適切ではないため着床に至ってないことがあります。ERA検査は、その着床の窓が適切かを調べる検査で、移植周期と同じ周期を再現し、本来移植するであろう日に内膜の細胞を採取して、窓が開いているかを調べます。ずれている場合は、移植日を窓に合わせて変更します。(当院の場合:15万円)
EMMA/ALICE(Endometrial Microbiome Metagenomic Analysis)検査
子宮の中には様々な菌が生息しており、善玉菌、悪玉菌、日和見菌(通常は特に影響はない菌)などがいます。2つとも子宮内の環境を調べ、整えるための検査です。EMMA検査は、子宮内の善玉菌(乳酸菌)の割合を調べます。この割合が高い方が妊娠率が高いと考えられており、低いようであれば乳酸菌を補うサプリを使用します。ALICE検査は慢性子宮内膜炎の原因となる菌がいるかを調べる検査です。慢性子宮内膜炎があると着床率が下がりますが、自覚症状はないことが多く、炎症があっても検査をしないとわからないことがあります。炎症の原因となる菌は様々であり、この検査で菌の種類が分かったら、それに対応する抗生剤を使用して治療します。(当院の場合:7万円)
*高額療養費制度:同一月(その月の1月から末日まで)にかかった医療費が一定以上になった場合、自己負担限度額を超えた分が後で払い戻される制度です。予め高額になるとわかっている場合は、先に「限度額適用認定証」を提示することで、保険適用内の医療費の支払いを、自己負担限度額までにすることができます。 上限は年収により異なります。加入している健康保険組合が発行するものになりますので、ご希望の方は各健康保険組合にご相談ください。
*先進医療については、自治体により助成金が出る場合があります。また、ご自身の加入している生命保険でもカバーされることがあるので、契約している方は詳細をご確認ください。
*先進医療以外でも、生命保険を契約している方は、不妊治療にも保険料が払われる契約がある場合がありますので、併せてご確認ください。
*医療費控除:1年間にかかった医療費が10万円(総所得金額が200万円未満の方は総所得金額の5%)を超えた場合、確定申告することで還付金を受け取ることができます。医療費の領収書を求められる場合があるので、なくさずにとっておきましょう。
体外受精の妊娠率はどれくらい?
日本産婦人科学会より
妊娠率の高い治療法である体外受精ですが、それでも妊娠を希望する方全員が妊娠できるわけではありません。上記の表のように、妊娠率は30代前半から少しずつ低下し、35歳から急激に低下していきます。一方で流産率は35歳ごろから次第に上昇していくのがわかります。卵子は精子と違い、胎児期に作られた以降新しく発生することはありません。「自分の年齢=卵子の年齢」であり、年齢とともに卵子の質が低下していくため、妊娠率は低下し流産率は低下します。体外受精においても、卵子の質については様々な試みがなされているものの決定的に改善できる方法は現状はなく、早期の治療開始が大きなキーポイントとなります。
体外受精のご相談は松本レディースIVFクリニック
当クリニックは、「赤ちゃんが欲しいのになかなかできない」と悩んでいらっしゃる方のための不妊治療専門クリニックです。
妊娠しにくい方を対象に、不妊原因の探索、妊娠に向けてのアドバイス・治療を行います。
1999年に開業し、これまで、不妊で悩んでいた多くの方々が妊娠し、お母様になられています。
当院の特徴につきましてはこちらをご参照ください。
https://www.matsumoto-ladies.com/about-us/our-feature/
まとめ
今回は体外受精の費用について説明しました。保険適用となり、自費の頃と比べ費用は大きく下がりましたが、それでもそれなりの治療費がかかるものです。1歳でも若い方が妊娠率は高く、最大限の治療効果を得るには早めのステップアップが大切です。また、高額療養費制度や任意で加入されている生命保険が使えることがあり、場合により大きく費用が抑えられる可能性があるため、ご自身でも使える制度については積極的に調べ、利用してみてください。