Th1/Th2の測定とタクロリムスの使用
不妊治療におけるTh1/Th2の測定とタクロリムスの使用は、免疫学的なアプローチの一環として注目されています。
特に免疫性不妊と考えられる場合、Th1/Th2のバランスが重要な役割を果たすとされています。
Th1/Th2のバランス
Th1細胞とTh2細胞は、免疫系の異なる側面を司るヘルパーT細胞のサブセットで、不妊治療においては、Th1の過剰な反応が胚の着床に対する免疫的な拒絶反応を引き起こす可能性があるとされています。
Th1は炎症性サイトカイン(例:IFN-γ、TNF-α)を産生し、Th2は抗炎症性サイトカイン(例:IL-4、IL-10)を産生します。
通常、妊娠の成立にはTh1/Th2のバランスが重要で、Th2優位の状態が着床を助けると考えられています。
タクロリムス(Tacrolimus)の使用
タクロリムスは免疫抑制薬で、主に臓器移植において拒絶反応を抑えるために使用されますが、現在不妊治療への応用がおこなわれています。
タクロリムスは特にTh1系の免疫反応を抑制する作用を持ち、Th1/Th2バランスを調整してTh2優位にすることを目指す治療となります。
治療プロセス
①Th1/Th2の測定
血液中のTh1/Th2比を測定し、免疫反応の状態を確認します。
不妊治療では、この比が高く、Th1優位の状態がある場合に治療対象となります。
②タクロリムスの投与
測定結果に基づき、タクロリムスを低用量で投与します。
投与量や頻度は個々の患者の免疫状態や治療反応に応じて調整されます。
③治療効果のモニタリング
治療の進行に伴い、再度Th1/Th2比を測定し、バランスの変化や臨床的効果を評価します。
臨床効果とリスク
タクロリムスを用いた治療は、特に反復着床障害や不育症の患者で一定の有効性が報告されていますが、免疫抑制に伴う感染リスクや副作用についても考慮が必要です。したがって、使用には慎重な経過観察が求められます。
タクロリムスを利用することが、すべての不妊患者に適しているわけではなく、主に免疫的な要因が強く関与している場合に限定されるため、専門的な評価が重要です。
監修医師情報
専門 |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医 日本産科婦人科学会産婦人科指導医 日本生殖医学会認定 生殖医療専門医 生殖・内分泌 子宮内膜症 子宮腺筋症 着床 |
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2006年 | 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業 |
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2009年 | 東京大学医学部附属病院 |
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2011年 | 河北総合病院 |
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2015年 | 日本学術振興会特別研究員 DC 着床関連の研究に従事 |
2016年 | 大学院博士課程卒業 医学博士 |
2016年 | 日本学術振興会特別研究員 PD |
2017年 | 東京大学医学部附属病院 助教 |
2019年 | 東京大学医学部附属病院 生殖グループ 総ハウプト |
2020年 | 松本レディースクリニック/リプロダクションオフィス 常勤医師 |
2021年 | 松本レディースリプロダクションオフィス 院長 |
2023年 | 松本レディースIVFクリニック 院長 |
専門 |
日本産科婦人科学会産婦人科専門医 生殖・内分泌 着床 |
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2011年 | 東京大学医学部医学科(理科3類)卒業 |
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2011年 | 東京大学医学部附属病院 |
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